飛鳥資料館に行ってきました、の館内編後編です!
第一展示室に続いて第二展示室と特別展示室を見学しました。
平日ということもあって一般の来館者の姿はあまり見かけなかったのですが、小学校の遠足が入れ替わり立ち替わり来ていたのでとてもにぎやかでした。
撮影日:2019年05月10日(金)
山田寺をフィーチャーした第二展示室
山田寺は蘇我倉山田石川麻呂が舒明天皇13年(641年)に建て始めた寺院です。
山田は蘇我入鹿の従兄弟にあたりますが、中大兄皇子や中臣鎌足と共謀して皇極天皇4年(645年)の蘇我入鹿暗殺(乙巳の変)に加担します。
その後は右大臣に任命されますが、大化5年(649年)に中大兄皇子と中臣鎌足の陰謀とされる謀反の疑いをかけられ、山田寺で妻子とともに自害しました。
この事件で山田寺の造営は一時中断されますが、山田の孫にあたる持統天皇とその夫の天武天皇の援助によって天武天皇5年(676年)には五重塔が完成しました。
東回廊
第二展示室はこの広いスペースのすべてが山田寺に関する展示です。
通路とのあいだに壁がなく、正面が中庭になっているので明るくて開放感があります。
山田寺跡から出土した部材を使って再現された山田寺東回廊です。
7世紀前半に建てられた東回廊は、現存する世界最古の木造建築物群である法隆寺西院伽藍よりも古い木造建築の実物で、貴重な資料となっているそうです。
この回廊部材をはじめ、山田寺の創建期である7世紀から東回廊の倒壊時期とされる11世紀末までの出土品は一括して重要文化財に指定されています。
東回廊は東から西に向けて倒れて埋まっていたので、より地中深くにあった回廊の内側の面は保存状態が良く、柱や連子窓などはほぼ完全に近い状態で発見されました。
それでも千年近く地中に眠っていた木材はかろうじて形を保っている状態で、14年という歳月を費やして科学的な保存処理が施されたそうです。
山田寺金堂の前に立っていた石灯籠の復元レプリカとオリジナルの台座です。
灯明を灯す火袋部分は一つの石をくり抜いて作られていて、飛鳥時代の石工技術がとても高度なものであったことがわかります。
ハートマークを逆さにしたような穴は猪目という魔よけの模様ですがかわいいですねw
その他の出土品
こちらは風招というもので、名前にひかれてパシャりました。
風鐸の内側に吊るされた舌の先につけて風を受けるための板です。
風鈴についている短冊のようなものですねw
如来坐像を四列三段に並べた十二尊連坐塼仏で、金ぴかのものは復元レプリカです。
釘穴が残っていることから五重塔内部の壁面を飾っていたと考えらているそうです。
塼仏はほかに四尊連坐塼仏、大型独尊塼仏、小型独尊塼仏が出土しています。
浄土のありようを表現した銅板五尊像です。
双樹の下の蓮台に座る如来と左右に比丘、その両脇に蓮台に立つ菩薩を描いています。
さらに双樹の左右に飛天を、蓮台の下の左右に獅子を配置しています。
禅定印を結んで結跏趺坐する如来を表現した銅製押出仏です。
ルーペ越しにパシャリ。
ピント面と同じ平面にあるものでもルーペの外側はボケていて面白いですw
仏頭
山田寺講堂の本尊として天武天皇14年(685年)に完成した仏像の頭部のレプリカです。
文治3年(1187年)に興福寺の僧兵が強奪して興福寺東金堂の本尊にしましたが、応永18年(1411年)に東金堂の火災で焼け落ちて頭部のみになりました。
オリジナルは国宝に指定されていて、現在は興福寺の国宝館に収蔵されています。
反対側からパシャリ。
陰影のせいだと思いますが、こちらから見るとシュッとしたお顔をしていますねw
再現された東回廊を裏側から見るとこのようになっています。
保存処理を施された木材は非常に重く、それでいて強度は本来よりも弱くなっているため、部材の一つひとつを鉄製のフレームで支えているそうです。
保存処置が終わっていない部材は復元レプリカですが、将来的にはオリジナルに置き換えられるかもしれないということなので楽しみです。
春期企画展「骨ものがたり」開催中です
地下にある特別展示室では春期特別展が開催されていました。
地下には映像コーナーと特集展示コーナーもあり、映像は10種類も用意されていてすべて視聴すると所要時間は1時間48分になりますw
骨ものがたり
春期特別展「骨ものがたり―環境考古学研究室のお仕事」が開催されています。
遺跡から出土した動物などの骨の展示のほかに、発掘調査から同定作業、観察して考察して報告書に記録するまでの舞台裏がパネル展示で紹介されています。
さらに机やキャビネットなどを置いて研究室の雰囲気まで再現していました。
開催期間は2019年6月30日までです。
特別展示室前です。
特別展示室内も写真撮影オッケーで、カメラをさげていると係の方が親切に声をかけてくださったのですが、小学校の遠足とかち合ってしまったので写真は撮りませんでした。
この日は午後から「研究員を展示!」というイベントが行われていて、研究員の方が実際に作業をしている様子も見ることができました。
体長約2.5メートルのマグロの模型です。
このマグロの模型は宮城県気仙沼市の波怒棄館遺跡から出土した縄文時代のマグロの骨をもとに推定して復元されたそうです。
こちらは体長約1.3メートルのマグロの現生標本です。
縄文人がどのように巨大マグロを釣って食べていたのか気になりますが、稲作が伝わったのが弥生時代だとするとお寿司はまだ存在していないですねw
特集展示
特集展示コーナーです。
高松塚古墳の石室を実物大で再現した石室模型が展示されています。
奥には石室を解体するときに使用された治具という機材の展示と、石室に描かれた壁画の乾拓を体験できるコーナーがありました。
靴を脱げば石室のなかに入って埋葬気分を体感することができます。
材質のにおいなのか、かなり臭くて小学生たちがおおはしゃぎしていましたw
今回はツツジとフジが終わりかけでしたが、春には桜、梅雨時にはアジサイ、晩秋には皇帝ダリアなど一年を通して様々な花が庭園を彩ります。
駐車場が狭いことだけがマイナスポイントですが、そもそも開館から長いあいだ駐車場はなかったそうなのであるだけでもありがたいですね。
あとがき
石人像と須弥山石のオリジナルを見逃したのが悔しいですw
またなにかの特別展があるときにでも訪れたいと思います。
アクセス情報
サイト | https://www.nabunken.go.jp/asuka/ (奈良文化財研究所) | ||
---|---|---|---|
所在地 | 奈良県高市郡明日香村奥山601 | ||
電話 | 0744-54-3561 | ||
入館料 | 270円 ※JAF会員証提示で100円引き (5名まで) 2020年4月1日より入館料が350円に値上げされました! |
||
開館時間 | 09:00~16:30 (受付は16:00まで) | ||
休館日 | 月曜日 (祝日の場合は翌平日) 年末年始 (12月26日から1月3日まで) |
||
イベント | 令和元年度春期特別展「骨ものがたり―環境考古学研究室のお仕事」
|
||
駐車場 | 無料駐車場あり 10台 | ||
トイレ | あり | ||
文化財 | 重要文化財 石造須弥山/石造男女像/奈良県髙市郡明日香村飛鳥字石神出土 重要文化財 高松塚古墳出土品 重要文化財 奈良県山田寺跡出土品 |
||
最寄駅 | 近鉄橿原線「橿原神宮前」駅より徒歩41分(3.1km) バスは橿原神宮前駅より「明日香奥山・飛鳥資料館西」で降車して徒歩3分 または桜井駅より「飛鳥資料館」で降車してすぐ |
ご意見掲示板