田原本町にある唐古・鍵考古学ミュージアムに行ってきました!
唐古・鍵考古学ミュージアムは弥生時代の土器や木製品を展示する博物館です。
今回は企画展「弥生の食卓~唐古・鍵遺跡の食事~」が開催されていて、弥生時代の人々が使っていた食器や食べていた動物の骨などが展示されていました。
撮影日:2021年11月26日(金)
これはキノコですか?
鍋と鍬
唐古・鍵考古学ミュージアムは田原本青垣生涯学習センターの2階にあります。
とても大きな建物で施設内にはカフェや図書館も併設されています。
駐車場は建物の北側と南側にあり、無料で利用できて収容台数も多いです。
入館料は常設展が200円、企画展が200円、常設展と企画展がセットになったお得な共通券は300円で、いずれのチケットもJAF会員証提示で50円引きになります。
常設展示と同じく企画展も写真撮影オッケーです。
企画展「弥生の食卓~唐古・鍵遺跡の食事~」は特別展示室で開催されています。
唐古・鍵遺跡の人々がどのようなもの食べていたのか、どのように食材を調達して調理していたのかなど、弥生時代の食文化が紹介されています。
穀物を炊いた鍋(壷)で重要文化財です。
鍋の内面に穀物の炭化物が付着していますが、壺形の土器で穀物を炊くことはまれなため儀式の時の特別なものだと考えられています。
水田を耕す道具と稲を刈り、脱穀する道具です。
奥は左から横鍬身、平鍬身、狭鍬身でいずれも重要文化財です。
普通なら木製品のような有機物は地中で腐食して土に還ってしまいますが、唐古・鍵遺跡は低湿地で水漬けになっていたので良好な状態で保存されていました。
横鍬身です。
木製の鍬や鋤で水田を耕していたと考えられていましたが、最近の研究では水田に耕した痕跡が見られないことから不耕起栽培の可能性が指摘されています。
スス・コゲが残る鍋です。
煮炊きをする鍋として使われた土器で、コゲや吹きこぼれの跡が付着しています。
小さいほうの鍋には吹きこぼれの跡が斜めに付着していて、水をたっぷりと入れて沸騰したら鍋を傾けて余分な水分を捨てる「湯取り法」で米を炊いていた痕跡と考えられています。
食材
食材となった動物たちの骨です。
唐古・鍵遺跡ではイノシシ類やニホンジカといった大型哺乳類の骨がたくさん出土していて、ほかにノウサギやタヌキなどの小型哺乳類、キジなどの鳥類の骨も見つかっています。
ニホンザルも食べていたようだと聞いてちょっとショックでしたが、調べてみると今でも有害鳥獣として駆除されたニホンザルが食べられていました。
イノシシ類の頭骨・椎骨です。
脳みそを取り出して食べていたのか、後頭部が人為的に打ち割られています。
採集植物と栽培植物の種子です。
オニグルミ、ドングリ、サクラ、ヤマブドウなどは採集して、アズキ類やダイズ類といったマメ、ウリ、モモは栽培して食べていたそうです。
キノコ形(?)土製品です。
子どもが遊びで作ったものにしか見えないですが重要文化財です。
キノコ形土製品というとシイタケみたいな形でとんがりキノコは珍しい気がします。
川の魚と海の魚の骨です。
コイ、ナマズ、ギギ、アユ、ウナギ、ドジョウ、スッポンといった川の魚の骨や、タイ、サバ、ウツボ、エイ、サメ、クジラ、ウニといった海の魚の骨が見つかっています。
海の魚は大阪湾などで獲れたものを大和川をさかのぼって運んでいたそうです。
土ごと取り上げられたギギの骨です。
ギギはナマズ目ギギ科の淡水魚で、胸びれの関節をこすり合わせて「ギーギー」と音を出すことが名前の由来といわれています。
奈良では「ギンギ」とも呼ばれているそうです。
華麗なる弥生の食卓
食器
食器には高坏や鉢といった土器や、高杯や盤といった木製品が使われていました。
木製の匙も使われていたようですが、魏志倭人伝には手づかみで食べると書かれています。
弥生時代中期の食膳具です。
高坏や鉢にかなりサイズの大きいものがあります。
手前の計量スプーンようなものとアイスの棒のようなものは重要文化財です。
弥生時代後期の食膳具です。
中期のものと比べると鉢のサイズが小さくなっています。
盤で重要文化財です。
たこ焼きを盛りつけたくなる形です。
唐古・鍵遺跡の食卓をイメージしたイラストです。
メニューはご飯、アズキのスープ、巻貝、タイとアユの焼き物、キノコ盛り合わせ、お酒、ヤマブドウ、クリとオニグルミです。
四季折々の魚介類やフルーツがたくさん並んでいてとても豪華ですねw
常設展示
常設展の「米づくりと食」コーナーにやってきました。
2018年(平成30年)に田原本町が所有する唐古・鍵遺跡の出土品のうちの1921点が重要文化財に指定されていて、常設展にもたくさんの重要文化財が展示されています。
右2列目から穂束、石庖丁、竪杵、一木鋤、狭鍬でいずれも重要文化財です。
木製農具は「木を加工する技」コーナーにも展示されています。
中段左から時計回りに石皿、敲石、凹石、石槌、磨石、磨石でいずれも重要文化財です。
米を炊いた鉢で重要文化財です。
鉢の内部に炭化物が付着しています。
こちらは「西から東から」コーナーの展示パネルです。
係の方から教えていただいたのですが、市場で売られているサルの姿が描かれています。
シカは痩せているのにサルはむっちむちで食べ応えがありそうですねw
あとがき
弥生時代の人々は奈良時代の庶民と比べるといいものを食べていたようですが、よく考えてみると高価な魚介類やフルーツが並んでいて現代の庶民よりも豪華ですねw
アクセス情報
サイト | https://www.town.tawaramoto.nara.jp/karako_kagi/museum/ (田原本町) | ||
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所在地 | 奈良県磯城郡田原本町阪手233-1 田原本青垣生涯学習センター2階 | ||
電話 | 0744-34-7100 | ||
入館料 | 200円 ※JAF会員証提示で50円引き (1グループ) ※特別展・企画展は別料金 |
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開館時間 | 09:00~17:00 (受付は16:30まで) | ||
休館日 | 月曜日 (祝日の場合は翌平日) 年末年始 (12月28日から1月4日まで) |
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イベント | 令和3年度秋季企画展「弥生の食卓~唐古・鍵遺跡の食事~」
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駐車場 | 無料駐車場あり 約250台 | ||
トイレ | あり (博物館内にはなし) | ||
文化財 | 重要文化財 奈良県唐古・鍵遺跡出土品 重要文化財 埴輪牛 奈良県指定文化財 笹鉾山2号墳出土品 |
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最寄駅 | 近鉄橿原線「田原本」駅より徒歩18分(1.4km) |
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